日本の神話は、大昔は口承で伝えられ、『古事記』編纂以降、文字によって伝えられてきました。
天つ神の住む世界を高天原(たかまのはら)と言います。
天は、地上の王権の正統性が神話的にそこに由来すると考えられた天上の他界なのだそうです。高名な学者の説です。
神様とは何かと申しますと、本居宣長が以下のように答えを言っています。
「すべてカミとは、いにしえの御典(みふみ)どもに見えたる天地の諸(もろもろ)の神たちを始めて、それを祀れる社に坐す御霊(みたま)をも申し、また人はさらにも云はず、鳥獣(とりけもの)木草のたぐひ海山など、そのほか何にまれ、よのつねならずすぐれたる徳(こと)のありて、かしこきものをカミとは云うなり」
天つ神はイザナギ・イザナミの二神に、この漂える国を作り固めよと言依(ことよ)さしました。
二神は天の沼矛(ぬぼこ)を賜り、天の浮橋に立って、沼矛を指し下ろし、「こをろこをろ」とかき鳴らして引き上げました。
矛の先からしたたり落ちた塩が積もってオノゴロ島が出来ます。
二神はその島に天降りして聖婚の儀礼を行い、日本列島を生みます。次いで、森羅万象、様々な神を生みます。
イザナミは、火の神を生んだ時、女陰にやけどを負い病臥します。
最後にワクムスヒを生み、死んでしまいます。
ワクムスヒは尿(ゆまり)に成り坐した神様です。
ムスヒは生産の霊のことで、古代日本において広範囲に信仰されていたそうです。
ムスヒの神様が、安積国造神社のような古い社にお祭りされているというのも、興味深いことですね。
参考文献 西郷信綱『古事記注釈』 |